「労働基準関係法制研究会」の報告書が公表されました

本年1月8日、厚生労働省の「労働基準関係法制研究会」が報告書を公表しました。
この研究会では、以下のような社会の変化を踏まえ、労働基準関係法制の見直しについて検討を行ってきました。
- キャリアの複線化(多様な働き方の広がり)
- デジタル技術の発展(オンライン業務の増加など)
- テレワークの普及(新型コロナウイルス感染症を契機に加速)
報告書の内容は多岐にわたりますが、主な検討テーマは次の6つです。
- 労基法における「労働者」概念
- 労基法における「事業」概念
- 労使コミュニケーションのあり方(特に過半数代表者の適正な選出と基盤強化)
- 最長労働時間規制(時間外・休日労働の上限、労働時間の情報開示、テレワークの扱いなど)
- 労働からの解放に関する規制(休憩・休日・勤務間インターバル・つながらない権利・年次有給休暇など)
- 割増賃金規制(特に副業・兼業における割増賃金の取り扱い)
報告書の基本的な方向性
報告書の冒頭では、労働基準法などの規制内容が 複雑化 し、 使用者 にとっても 労働者 にとっても分かりづらくなっている現状が指摘されています。
そのうえで、次のような方針が示されています。
- 原則的な制度をシンプルかつ実効的な形で法令に定めること
- 労使合意などの一定の手続きを経て、企業・事業場・労働者の実情に合わせた基準の調整・代替を可能とすること
- そのために、実効的な労使コミュニケーションを確保する方策が必要であること
本コラムの今後の展開
本コラムでは、今後 6つのテーマのうち「③ 過半数代表者に関する問題点」 について、数回に分けて解説していく予定です。